不協和音ラプソディ
「……これじゃ、ただのセフレと一緒だね」
「え?」
一緒に狭い浴槽に入って、お互いの隅々を知っていく。のぼせてお風呂を出たあとも、眠るためではなく、熱くなった身体を満たすためにベッドに溺れて。
果てるその瞬間までは、言葉はなくても愛されていると思えるほど求め合うのに。終わればすぐに、カタチだけの腕枕をして眠りに入ろうとする浬。
そこまでを含めて、最近のお決まりだったはずなのに、思わず、私の本音がぽろりと漏れた。
「何でもない、忘れて」
浬の腕の中にとけて消えていってはくれなかった言葉から、目を逸らすように瞼を閉じる。
なにか言いたげな浬の存在を第六感が教えてきてはいたけれど、気づかないフリをした。