不協和音ラプソディ
余計なことは考えずに、はやく寝てしまおうと。
大学終わりのバイトから真っ直ぐに帰宅して、シャワーを浴びて、髪の毛を乾かしていた、その時。
待っている間は一向に鳴らなかったiPhoneが、私を呼ぶ。
ドライヤーの騒々しい音が響くなかでも、小さなバイブ音に気づいてしまう自分に、嫌気がして。
そのことにまた、嫌気がする。
どれだけアイツが、私の世界を占めているのか。
知りたくないのに思い知らされてしまう現実は、間違いなく、しあわせじゃない。
「なんで先帰ってんの。
杏(あん)の味噌汁が食いたい」
夜の22時に、平然と、未成年の女子大生に、そんなあまえを送ってくる浬(かいり)は、本当に、自分勝手だと思う。
バイト前に、『今日くる?』と。
聞いた私のLINEには、既読しかくれなかったくせに。