不協和音ラプソディ
……今になって、思えば。
せめてこの時くらいは、強い意志をもって、問いただしてしまえばよかったのだ。
まだ早いから。私だって自分のキモチをよくわかっていないからなんて悠長に構えず、間違っていたとしても、核心に触れられる機会を逃してはいけなかった。
一度でも触れ損なった核は、時間が経てば経つほどに遠くなる。
一歩でも進んでしまえば、必ず、聞いてはいけないタブーとなって、私達の間に聳え立つ日がきてしまう。
清く正しく正直な恋愛をしましょうという、ピュアな戦線布告は、はじまりだからこそ、成り立つものだというのに。
……そのことを、この時はまだ、知らなかった。