初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー
はじめての気持ちーシトリンー
その日、柚歩はそわそわして落ち着かなかった。琉生との食事にドキドキが隠せないほどだった。
何日か前に会ったきりだった要のこと少し怖かったものの気にはなっていた。
要は下を向いたまま、柚歩に話した。
「ごめん。この間は葉山のこと怖がらせてしまって...」「... この間は...怖かった...」「ほんとにごめんな。ただ、お前のことが心配でさ... ...」「心配?我妻副社長とは昔からの知り合いだから...」「それにしても、今日はいつもと違う恰好でなんかその服似合ってるよ」柚歩は少しはにかんだ。
それ以上、要は言葉を発さずにただじっと柚歩のことを見ていた。
ボーっと見られていたことに気付くと少し気恥ずかしくなっていた。

「あ、葉山。あのネックレスって我妻副社長にもらったんだよな。でも、ジュエリーデザイナーだったなんて初めて知った。
我妻副社長のことは聞いたことはあって、仕事には手厳しいしか聞いたことなかったから。あんな優しい顔するんだ」
「優しい顔?」「ああ、葉山を見た時のあの人の顔は凄く優しい顔をしていた。だから、少し嫉妬したのかも... ...」
「なんで、小柳君が嫉妬を... ...」「あ、い...や。そういえば、あれから沢城さんこっぴどく怒られたみたいだぞ。色んな社員に取り巻きを使っていやがらせをしてることが、沢城さんのお父さんに社長経由で伝わったみたいで、自己退職させて手元でビシバシしごくそうだって話を先輩から聞いた」「そうなんだ」麗華のあの後のことは気にはなっていたが、そんなことになっているなんて思わず驚いていた。柚歩はパソコンに集中した。要が去ってしばらくすると主任が戻ってきた。主任は終始不機嫌そうに柚歩の机に書類を投げつけた。

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