初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー

そのままなぜか、琉生は手を離さず、店に入っていった。
「あの...琉生さん...手...」柚歩はバクバクしながらも手をつないだまま琉生についていった。

そこは洋風のお店で若い夫婦が二人でやっている隠れ家的な小さなお店だった。

「琉生君、ひさしぶりね。元気にしてた？」「はい。侑子さん聖さんご無沙汰しています」
「琉生、忙しかったんじゃないの？」聖と侑子はまぶしい笑顔で琉生と一緒にいる柚歩をみていた。「こちらのお嬢さんは琉生のいい子なのか？」柚歩は真っ赤な顔になって顔を上げられなくなった。

「可愛いね。琉生紹介してくれるか？」「聖さん、侑子さん。こちらは葉山柚歩さん」「初めまして、葉山柚歩です」柚歩は顔を上げてきちんと挨拶した。

「柚ちゃん、こちらは、中岡聖さんと奥さんの侑子さん。聖さんは大学の先輩なんだ。留学するまでのね」「今日はゆっくり楽しんでいってね」

「ここは一日1組限定だから。ゆっくり食事楽しめるからね」柚歩と琉生はテーブルに案内してもらった。

「今日はいい素材入ったから美味しいの出すから楽しみにしてて」「柚歩さんはお酒は飲める？アペリティフでシャンパン出そうと思ってるけど大丈夫？」「はい...」「ごめんね。柚ちゃん驚いたでしょ。聖さんも侑子さんもおしゃべり好きだから...。疲れてない？」柚歩はうなづいた。
しばらくすると、侑子がアペリティフを出し、聖も前菜を給仕した。
「ゆっくり召し上がってね。遠慮はいらないからね」聖はそう言ってニコッと笑うと、そのまま厨房に戻っていった。

二人は食事を楽しみながら、今まであってなかった時のことを話した。「ずっと、この7年間探していたんだ。柚ちゃんのこと忘れられなくて...。でもこんなこと言うのは本当に迷惑かもしれないけど、これからは知り合いではなく友達としてあって欲しい。柚って呼んでもいいかな？」柚歩はうなづいた。