初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー

「あの、葉山柚歩さんですよね。私、門倉優海です。」その声に柚歩は少しオドオドしながらも顔を上げた。

「はい。あの、副社長にはお話したんですが、お礼なら大丈夫ですよ」柚歩は優海の横を通り過ぎようとした時、急に優海が胸を抑えて座り込んだ。ギョッとして駆け寄ろうとした時、顔を上げた優海がニコッと笑って柚歩の腕にしがみついた。

「だまして、ごめん。お礼もしたいけど、それとは別件で話がしたいから...。大丈夫よ。胸はいたくない。琉生君のことで...。少し話がしたいんだけど...。少し付き合ってくれない？」柚歩は、固まってしまっていたが、優海が腕を離さないので二人で立ち上がった。

「ここだと目立ってしまうから、違う場所に移動しましょう。」優海は柚歩の手を引っ張って自分の車のおいてある駐車場に誘導した。

「とって食わないから、そんな顔しないでよ。大丈夫あなたに恨み事を言うつもりはないわ」優海は柚歩に笑いかけたが、柚歩は固まったままだった。

優海が車を発進させて、目的地に着いた。少し小高い所にある家庭的なレストランだった。
「ここは気軽に食事を楽しめるところだから一緒に食事しよう」柚歩は優海が声かけた。

「今日、どうして私に会いに来たんですか？偶然ではないですよね」優海は正直に話した。
「私、琉生君の好きな人に会いたかったの。私は小さい頃から琉生君しかいなかったから。でもいつも琉生君は私のことなんて眼中にないことなんて最初からわかっていたの。琉生君は誰も好きになれないって思ってた。いつも家のことや琉生君の顔で近づいてくる人ばかりだったから...。だからかな私、琉生君が本気になった人と話したかった。でもあなたがあの時のひとだと知った時、私は二人の様子を見て違うって思った。琉生君の表情がいつもと違ったから...」柚歩はその時初めて顔を上げた。
優海は話をつづけた。
「私はその表情を見た時初めてこの人が琉生君の大切な人なんだとわかったの。私はあなたに会って別に婚約破棄の件を問い詰めるつもりもない。ただ琉生君の好きになった人がどんな人なのか知りたかっただけなの」