初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー
それから、何回か顔を合わせて普通に話せるようになっていた。
柚歩自身も彼に会う事はいつもと違う気持ちがあった。そんなある日、柚歩の母が亡くなった。長い闘病の末だった。そのために、柚歩はなかなかあの場所に行くことができなかった。突然母を病気で亡くした柚歩は心も身体も疲れ切っていた。
柚歩の世界の中には友香しかいなかった。二人でずっと暮らしてきた。友香の看病の為にあまり学校も行けず、学校にも友達もいなかった。そんな生活に身も心も疲れ切っていた。
柚歩は大きな木の幹に座っていると、琉生がやってきた。

「どうしたの?何か元気ないみたいだけど」「心配して下さってありがとうございます。

母が長い間、闘病生活を送っていたんです。もう余命宣告もされていたので、覚悟はしていました。私には、母しかいません。学校にも友達と呼べる人はいないので、私にとって母が全てだったのです」柚歩は小さい声で涙をにじませながらはなしていた。

「悲しい時は泣いていいんだよ。無理しなくていいから...」琉生は自然と柚歩の頭をなでて、泣き止むまでずっとそばにいた。

最初、柚歩は身体をビクッとさせながらもそのあとは大きくて安心するようなてになでられながら落ち着きを戻していった。

「ありがとうございます」柚歩は初めて琉生の顔を見てお礼をいった。
「ううん。気にしなくていいよ。俺はいつも柚ちゃんに励ましてもらってるから... ...。でも、俺も柚ちゃんのお母さん程では ないけど、柚ちゃんの傍にいるから...」「はい」まだ、目に涙をためながらうなづいた。

その日はそれで別れた。連絡先をきいているわけじゃなくていつ会う約束もしてないまま、お互いに名前ぐらいしか知らない関係だった。

< 9 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop