ずるい恋心
妻になる人
「門倉くんとの見合いを決めてきたぞ。」
自宅に帰ってきた父がにこにこしながら私に言ってきた。
門倉雅之さんは、現在私のいる営業課の課長でずっと片思いしていた人だ。
「ほんと?課長が話を受けてくれたの?」
「ああ、今度の土曜日にクインホテルTokyoのラウンジに10時な。」
私から父にお願いしたわけではないが、母から私の片思いを聞いた父が気を回してくれた。
両親の優しさに感謝しながら、土曜日が楽しみになった。
中学から女子校、女子大と身近な男性は父と先生しかいない生活だったおとなしいタイプの私は、入社してすぐに行き詰まった。
次から次へとぞんざいな言葉で指示を出してくる営業社員に着いていけず、もたもたしていて使えない反応がないやつとレッテルを貼られてしまったのだ。
さすがに父には言えず、困っていた私を気遣ってくれたのが、当時主任だった門倉課長だったのだ。
ただの先輩としての優しさだったかもしれないが、奥手な私が恋に落ちるには充分な出来事だった。
自宅に帰ってきた父がにこにこしながら私に言ってきた。
門倉雅之さんは、現在私のいる営業課の課長でずっと片思いしていた人だ。
「ほんと?課長が話を受けてくれたの?」
「ああ、今度の土曜日にクインホテルTokyoのラウンジに10時な。」
私から父にお願いしたわけではないが、母から私の片思いを聞いた父が気を回してくれた。
両親の優しさに感謝しながら、土曜日が楽しみになった。
中学から女子校、女子大と身近な男性は父と先生しかいない生活だったおとなしいタイプの私は、入社してすぐに行き詰まった。
次から次へとぞんざいな言葉で指示を出してくる営業社員に着いていけず、もたもたしていて使えない反応がないやつとレッテルを貼られてしまったのだ。
さすがに父には言えず、困っていた私を気遣ってくれたのが、当時主任だった門倉課長だったのだ。
ただの先輩としての優しさだったかもしれないが、奥手な私が恋に落ちるには充分な出来事だった。