ずるい恋心
翌日、周りの視線がいつもと違うと感じながら出社するとすぐに総務部長に呼び出された。
「門倉くん、社内でセクハラはまずいよ。」
「は?」
「何人もの社員から君が会議室に吉川さんを連れ込んで、彼女が泣いて部屋から出てきたと報告が上がっているんだ。ましてや彼女は、ねぇ……」
おそらく総務部長は吉川が常務の娘と知っているのだろう。
このまま冤罪でどこか飛ばされるくらいなら、最初から断っておけば良かった。
詰んだな……
そこでノック音がして、吉川が顔を覗かせた。
「失礼します。あの……榊部長、雅之さんが悪いんじゃないんです。ね、パパ。」
「榊くん、ふたりはちょっと喧嘩しただけなんだ。近々、婚約発表するつもりでな。」
「常務、そうだったんですか。おめでとうございます。いやぁ、門倉くんもちゃんと言ってくれないから……」
俺の目の前で勝手に話が進んでいき、総務部長が噂を否定するためにもしっかり婚約発表した方がいいと勝手に広められていた。
違う意味で詰んだ俺は、たった一度デートしただけの相手と結婚する事になった。
付き合っていた彼女には、事情を説明して土下座して謝った。
いつか離婚できた時、まだ独身だったら一緒になりたいと告げたら泣かれたけど。
「門倉くん、社内でセクハラはまずいよ。」
「は?」
「何人もの社員から君が会議室に吉川さんを連れ込んで、彼女が泣いて部屋から出てきたと報告が上がっているんだ。ましてや彼女は、ねぇ……」
おそらく総務部長は吉川が常務の娘と知っているのだろう。
このまま冤罪でどこか飛ばされるくらいなら、最初から断っておけば良かった。
詰んだな……
そこでノック音がして、吉川が顔を覗かせた。
「失礼します。あの……榊部長、雅之さんが悪いんじゃないんです。ね、パパ。」
「榊くん、ふたりはちょっと喧嘩しただけなんだ。近々、婚約発表するつもりでな。」
「常務、そうだったんですか。おめでとうございます。いやぁ、門倉くんもちゃんと言ってくれないから……」
俺の目の前で勝手に話が進んでいき、総務部長が噂を否定するためにもしっかり婚約発表した方がいいと勝手に広められていた。
違う意味で詰んだ俺は、たった一度デートしただけの相手と結婚する事になった。
付き合っていた彼女には、事情を説明して土下座して謝った。
いつか離婚できた時、まだ独身だったら一緒になりたいと告げたら泣かれたけど。