君がいた街

違くない。


答えは、声となる前に、消えた。


だって。

もし、そうだと答えたら、リイはどうなるんだろう。


俺……いや、アルドに、言葉を伝える為だけに霊としてとどまっているのだとしたら。

それを叶えたら、もう、リイが、この世にとどまる意味はない。


せっかく出会えた身内だから、腹違いとは言えども妹だから、失いたくなかった。

……なんて、俺のわがままだって、わかってはいるけれど。


「いい、わかってるんだ、そなたが兄と。

あの歌は、そなたに届けばいいと願って歌ったものだから。

話を聞いて、確信したから」


「だけど、嫌だ」


思わず言葉が口をついて出た。

「リイがたとえ、幽霊でも。いなくなってほしくない」

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