君がいた街
祈望
少女……というには少し大人びた、だけどまだ幼さを残す容貌の、白いワンピースを纏ったその子は、俺の気配に気付いたのか、ふとこちらを振り返った。
俺の姿を見とめたらしい、訝しげに片眉を上げる。
まぁ、ただでさえ人の存在が異質に思えるこの場所で、周囲から明らかに浮いた装いの俺は、はたから見れば相当怪しげだったろう。
都会で流行りの派手なスカーフ、明るいカラーの迷彩服。
この格好に意味はないが、つい最近まで近代的な都会で暮らしていたせいでたまたま着ていた。それが、やたらと目立つ。
それに比べて、少女の白は同じく目を引くのに、どこか周囲に馴染んでいた。
……ここで過ごしてた時間の差、なんだろうか。