君がいた街
俺の指摘に、リイはたん、と一歩近づいてきた。
それで当たり前のように言ったんだ。
「残念。アタシは2年前に死んだんだ、冷たい、雪の降る夜に」
きゅっ、と、俺の腕を掴んだ手は、氷のように冷たかった。
「は、放せ……!」
「放さない」
身体の震えは、寒さのせい、だけじゃない。
幽霊を前に平気な奴なんか、世界に数えるほどしかいないはず……!
「アタシが、怖いのか」
俺の震えを感じたらしい、リイは傷ついた表情でうつむいた。
「……っ」
やめてくれ、迂闊にも、可愛いなんて思ったじゃんか。
「……まぁ、いい」
何を思ったか、リイは気を取り直したように、
「そなた、旅の者だったな。話。聞かせてくれないか」