リアル指輪物語
その夜、帰って来た夫に「旦那の車の中から携帯充電器借りたら、指輪が落ちてたよ」と伝えたところ・・・
「だめ!すぐ返して!!」
血相を変えてわめきだした。
(な?なに?)
もしかして会社の人の忘れ物だったのだろうか?それとも本当に、めったにお目にかかれない指のサイズの女性が・・・
いぶかしみながら、私が指輪をバッグから取り出すと、
「違う!そっちじゃない!」
とバッグをひったくった。
「だめだよぉ・・・車の中に常に充電器は入れておかないと」
そっちかよ!
「それ(充電器)・・・元々私のなんですけど・・・」
「だから?」
その充電器は、以前私が購入したものなのだが、当時持っていた携帯が適応機種で無かった為に、泣く泣く夫にゆずった物なのである。
「貰ったから俺のもの。」
夫は少々、いやかなりドケチなのである。
ま、それはおいておいて・・・
「じゃ、この指輪は?」
「知らない。」
「だって、夫の車から出てきたよ。」
「耀湖さんだって俺の車使う事あるでしょ。」
「ヒロタオボエナイアルヨ」
「ナゼ怪しいエセ中国人になる?」
「・・・マジ覚えないんですけど・・・」
「俺は、道に落ちているものは拾わない主義。」
そう、夫は、妙にオカルトチックな奴で、『拾ったものに念が入っていると困る』と絶対拾わないのだ。
「むしろ、何時も何でも拾って来るのは貴女でしょ」
「・・・その都度警察に届けるもん・・・」
そうなのだ、マウンテンバイク、身分証明書、時計、空の財布、犬に猫に子供・・・
結構色々拾ってしまうのは私のほうなのだ。
ちなみに、子供は肩車をしてあやしているうちに、自ら落とし主(親)見つけ去っていったので、我が家の一員にはならなかった。
猫は実家で天寿を全うした。
犬も飼い主が見つかったなぁ・・・
あ!そういえばねぎ一束拾った日だけは警察に届けず父の腹の中に・・・
・・・話を戻そう・・・

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