君のおとうとじゃない。

☆あかね*えっ? 寝ぼけてるの可愛い!

「あー、カツ丼美味しかった!」

 お風呂も入ったし、明日の準備もしたし……。

 今日も平和に過ごせたな!って一日を振り返りながらベッドにごろんってする時間が、幸せ!

「さぁ、寝よっと!」

 電気を消した。

 目を閉じてしばらくたち、ちょうど脳が夢の世界と現実をさまよっていた時、私の部屋のドアが開く音がした。

 ガチャ。

 夢の世界に向かっていたのに、一気に現実の世界に引き戻される。
 ドアを開けたのがおばけだったら怖いから、薄目でドアの辺りを見てみた。

 オレンジ色の小さな電気は常に点灯しているから、暗闇に目が慣れなくても、すぐにその姿は見えた。

 あっ、岳!

 彼はふらふらしながらこっちに向かってくる。

 なんか、寝ぼけて私の部屋に入ってきたっぽいな。
 私は体を起こし、ベッドに座った。
 
 彼が私の横に座ってきた。

「大丈夫? 寝ぼけてるの?」

 彼は何も答えない。
 うっすらと目は開いていて、視線はこっちにあった。

「これは夢なんだ……」

 彼はボソボソと呟いてきた。
 私は耳をかたむける。

「うんうん」

「夢だから何だって出来る。現実で好きな人に告白だって……」

「うん、そうだね! 夢だもんね!」

 私は寝ぼけている岳に返事をしてみた。
 でも、夢の世界にいる岳には聞こえていないのかな?

「好きだ」

 私と目は合っている。
 でも夢の中だから私に言っているわけではない、よね?

「寝ぼけてる岳、めちゃくちゃ可愛い!」

 思わず、ぎゅっとしちゃった。


 でも、このシチュエーションって……。
 私がノートに書いたネタ。

 偶然?

 とりあえず、岳を隣の彼の部屋に連れていくことにした。
 軽く彼を支えると、寝ぼけながらも自分の足で歩いてくれた。

 ベッドに寝かすと「おやすみ!」って声をかけて、頭をなでて私は自分の部屋に戻った。

 そういえば、カツ丼の時も、言葉があのノートと同じだったような?
 だって、普段あかねって呼ばれているのに、私をねえちゃんって――。

 岳、あのノート、見たっぽいなぁ?
 えっ? 恥ずかしい!

 って事は何? もしかして岳は私に胸キュンしてほしいの?
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