秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ははっ。僕が恋敵になり得ないと知りながら、君は存外に嫉妬深いんだね。言ったろう? 敵に塩は送らないのさ」
「……とんだ食わせ者もいたものだ」
 この男、あるいは職人よりも、謀略をめぐらす国政の場、特に駆け引きの求められる外交などで活躍できる人材なのではないか。
「はははっ!」
 俺が苦々しくこぼしたら、ブロームは声をあげて笑った。
「あら! ふたりとも、笑い声なんかあげちゃって。すっかり仲良しね」
「「仲良しじゃない(よ)」」
 戻ってきたメイサに茶化されて反論したら、驚くことにピッタリとブロームの声に重なった。
「やだ、ふたりとも息もぴったりじゃないの!」
 コロコロと笑い声をあげるメイサを共に目を細くして見つめながら、不思議とブロームの存在を煩わしいとは感じなくなっていた。なんとなくだが、ブロームはいずれ『鍼の提供』に留まらず、メイサのよき理解者、強力者となるのではないかと思った。
 メイサを迎え入れるにあたり、少なからず彼女の身辺について調べた。
< 130 / 340 >

この作品をシェア

pagetop