秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ……なんにせよ、私は鍼灸やら頭髪のセットやらでアズフィール様に触りまくっている上、令嬢除けとして用命されるくらいだ。私がアズフィール様に女性としてカウントされていないのは間違いない。
「わかった。そういうことなら協力するわ。その代わり、社交の場での気の利いた会話やダンスは期待しないでちょうだい」
 少し迷ったけれど、アズフィール様が疲れているのは間違いなく、私は参加の旨を伝えた。
「そうか、行ってくれるか!」
 アズフィール様はとても嬉しそうだった。
「ドレスやアクセサリー、身の回りの品はすべてこちらで揃える。夕方には君の部屋に運ばせておく。夜会は六時半開始だ」
「ありがとう。今日は、午後から産院に行く予定になっているの。数人が産後のケアに鍼灸を希望しているんだけど、おそらく夕方には終わるから開始に間に合うと思うわ」
「そうか。俺は先に行くが、君はお茶でも飲んでゆっくりしていってくれ」
「ええ、ありがとう。いってらっしゃい」
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