秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
ふたりは真剣そのものの様子で何事か話し込んでいた。なんとなく、爽やかな朝には似つかわしくない淀んだ空気を感じ、私は無意識のまま踏み出しかけた足を止め、息を詰めてふたりの様子を窺った。
「今朝方、私のもとに再建中の現場から火薬が見つかったとの一報が入ってまいりました。いずれ町を管轄する警邏部隊から、王宮にも正式な報告があがってくるかもしれません」
……今、火薬って言った?
耳にした物騒な単語に、眉間に皺が寄る。
「なんですって!? し損ねたばかりか、そんな物を残していたの!? 火薬は成分を分析するとおおよその産地を特定できるそうじゃない。万が一にもそこから足がついたりはしないのでしょうね!?」
女性は口もとに手を寄せて、苛立たしげに爪を噛む。遠目にもそれとわかる禍々しいほどの赤さの長い爪にドキリとした。
それなりの距離があり、ふたりの会話は全部が全部聞こえているわけじゃない。しかし、断片的に聞こえてくる単語や全体的なニュアンスから、不穏な様子が伝わってくる。
「今朝方、私のもとに再建中の現場から火薬が見つかったとの一報が入ってまいりました。いずれ町を管轄する警邏部隊から、王宮にも正式な報告があがってくるかもしれません」
……今、火薬って言った?
耳にした物騒な単語に、眉間に皺が寄る。
「なんですって!? し損ねたばかりか、そんな物を残していたの!? 火薬は成分を分析するとおおよその産地を特定できるそうじゃない。万が一にもそこから足がついたりはしないのでしょうね!?」
女性は口もとに手を寄せて、苛立たしげに爪を噛む。遠目にもそれとわかる禍々しいほどの赤さの長い爪にドキリとした。
それなりの距離があり、ふたりの会話は全部が全部聞こえているわけじゃない。しかし、断片的に聞こえてくる単語や全体的なニュアンスから、不穏な様子が伝わってくる。