秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ご心配には及びません。火薬は市井でもっとも多く流通している廉価品。そこから我らに捜査の手が及ぶことはまずありません。イザベラ様が王宮筋から耳にして驚かれぬよう、こうして事前にお伝えさせていただいたに過ぎません」
「もう、脅かさないでちょうだい。とにかく、これ以上のしくじりは許さない! 私にはもう時間がないの。……次こそ方をつけるのよ! でないと、私にはもう……っ」
 女性は肩を怒らせて、唇をわななかせた。
 ……しくじり? 時間がない? いったい、ふたりはなんの話をしているの?
「イザベラ様、私がすべて良いようにいたします」
 えっ!? ……あの女性が第一王女のイザベラ様!?
 目の前の女性がアズフィール様のお姉様と知り、胸が奇妙にざわめくのを感じた。それがどんな感情に起因するものなのかはわからないが、猛烈な違和感を覚えていた。
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