秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「鍼灸に使う主だった道具はほとんど自作しているわ。もちろん、この台座も手作りだけど、どうして?」
「いや、金属とも違うようだし、いったいなにを原料にしているのかと思ってな」
「これはね、植物の茎を使っているの」
 私の答えに、アズフィール様は目を見開いた。
「まさかその植物というのは、王宮裏の樹林公園に生息している物か?」
「ええ、その通りよ。お祖父ちゃんに連れられて行った時に、あそこで空芯のある植物を見つけて。台座にちょうどよさそうだから、持ち帰って屋敷の庭に植えたのよ。ちなみに今では実家の庭に自生してるわ」
 持ち帰った際の経緯は、あえて割愛だ。忍び込んで入手したなんてアズフィール様に知られた日には、絶対チクチクつつかれちゃうに決まってる。
「そうだったのか。言われてみると、たしかにあの茎を短く切って乾燥させたら、まさにそんな感じになるな」
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