秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ええ。使い回しているから焦げて黒っぽいし、一見では青々したあの植物の茎だとはわかりにくいけれどね。それにしても、樹林公園の植物だってよく知っていたわね」
 まさか、アズフィール様がこの植物のことを知っていたとは驚いた。
「以前、あそこで空芯のあるその植物を欲しがっていた少年がいたんだ」
「へぇ、そんな子がいたの。たしかにこの茎って、いろいろな用途に使えそうだものね。……ちなみにその子は、この植物をなにに使ったの?」
 私は台座の素材を探す際、上でもぐさを燃焼させる目的だったから、端から熱伝導のいい金属素材は除外していた。
 だが、仮にこれに近い形状を金属で加工して作らせようと思ったら結構な手間とコストがかかる。その点これは、人が手をかけなくとも、もとから細い筒状になっていて、乾燥させればそれなりの硬度も確保できる。結構、使いようはありそうだ。
「残念ながら、その子とはそれっきだ。何に使ったのかはわからん」
「あら、そうなのね」
 この話題は一旦終わりになった。
< 182 / 340 >

この作品をシェア

pagetop