秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 フンッと鼻息を荒くして、私は嘘っぱちばかりが綴られた本を閉じた。
「死ぬって、そんな綺麗なものじゃないし。少なくともその瞬間、私の心は怒りや後悔でいっぱいだったよ……」
 死の間際に、人はいったいなにを思うのか。
 そんなのはいざその時になってみなければわからないし、わかったとしても次の瞬間には、もうあの世に旅だってしまっている。だから、死に際になにを思うかなんて生きている人間には知りようもない。高名な学者とて、それは例外でない。
 ……だけど、私は記憶として全部覚えている。
 最期の瞬間は、後悔ばかりが胸に募った。ああしていたらよかった、もっとこうしていたらよかった、そんな苦しさの渦にのまれるように死んでいった。
 ちなみに、前世の私が残した最期の言葉は『こんな人生もうやだ……。もし次の世があったら、絶対自由気ままに生きる』と、こうである。
「もう、やめやめ! こんな本、読む価値もない。さっさとブロームに返そう」
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