秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ぅううっ。だって、うちは父がその腕で大臣にまで上り詰めたけれど、爵位としては下位で……。あなたのお祖母様に睨まれたら、社交界で生きてはいけない。貴族っていうのは、長いものには巻かれないといけない時もあるのよ……ヒック」
 カミラはチーンと洟をかみながら、馬鹿正直に告げる。
 やれやれ。浅慮には違いないのだが、私はそんな彼女がなんだかちょっと憎めなかった。
「……でも、それだけじゃないの。私、今回のことで母と父を泣かせてしまったの。大切なふたりが涙する姿を見て、苦しくて堪らなかった。それとね、実をいうと王宮にあなたを訪ねてきたのはこれが初めてじゃないの。前に父と謝罪に訪れた時、あなたは不在だったんだけど、その時に偶然行き合った外交大臣に『ご息女に素晴らしい教育をなさっているようじゃないか』って、嘲笑されて俯く父を見て胸が千切れそうだった」
「そんなことが……」
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