秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ありがとうございます。実は、アズフィール様の今回の参拝に危険が迫っていることを偶然知ったんです」
「具体的には?」
 その気さくな人柄のせいだろうか。ヴァーデン王子には、初対面の時から、なんとかく親近感を覚えていた。
「密林内で刺客がアズフィール様を狙っています。しかも、アズフィール様の進行ルートまで漏れているようで、刺客はアズフィール様を挟み撃ちにする計画のようです」
「君は進行ルートを把握しているんだね?」
「はい。沢に沿って進むと、事前にアズフィール様本人から聞いています。神殿に続くルートに並走する沢は、一本しかありません」
「そうか。だが、私たちがそのルートに沿って密林内までアズフィールを追いかけていくのは避けたい。密林に入る前に、アズフィールに追いついて伝えるのが理想だ」
 そうして今、私はヴァーデン王子の存在をとても頼もしく感じている。同時に、彼という協力者を得たことに、底知れぬ安堵を覚えている自分がいた。
< 224 / 340 >

この作品をシェア

pagetop