秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官（※その実態はお妃候補）に任命されました！

「なんなら、刺客を一匹捕まえて吐かせてみるか？　……ふむ。それも面白いな。よし、水を汲み、その後で余力があれば検討しよう」
　目下の目的である聖水を手に入れるべく、変更したルートを足早に進んでいった。

　数時間黙々と歩くと、拓けた木々の先に、何本もの円柱で支えられた石造りの神殿が浮かび上がった。
　引き寄せられるように歩み寄り、手のひらで円柱の一本にそっと触れる。表面は滑らかで、不思議なほど経年劣化を感じなかった。
　……ほぅ。何百年も捨て置かれていたとは思えんほど状態がいいな。
　数段の階段を上り、等間隔に立つ円柱の間を通って主殿内を進む。十メートルほど奥に行くと、台座の上に微笑を浮かべて佇む女神エイルの石像が現れる。
　女神の足元には、幅にして一メートル、水深も一メートルほどはあるだろう、円形の泉が出来ていた。
　……これが秘泉か。