秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
この瞬間、アズフィール様が胸でなにを思っていたのか、私には想像も及ばない。ただし、彼の心が傷ついて泣いているような気がして、私まで泣きたい気持ちがした。
私は無意識に絡めた指に力を籠めた。
「メイサ、君には嫌な役目をさせてしまったな」
目を開くと、アズフィール様はしっかりとした口調で告げた。
「っ、そんなことは……!」
「ありがとう、メイサ」
首を横に振る私に、アズフィール様は静かに言って、真っ直ぐに前を見据える。
その時、私の手を握る彼の指に、僅かに力が籠もった。私もすぐにキュッと握り返して応えた。
それっきり、アズフィール様は唇を引き結び、言葉を発することはなかった。一歩後ろを進むヴァーデン王子も私たちの会話が聞こえていただろうに、なにか言ってくることはなかった。
土を踏む三人の足音だけが、周囲に響いていた。
木々が割れ、前方に麓の村が見えてくる。
「予想より早く戻れたな。これなら、アポロンを飛ばせば、日暮れ前に王宮に着けるだろう」
私は無意識に絡めた指に力を籠めた。
「メイサ、君には嫌な役目をさせてしまったな」
目を開くと、アズフィール様はしっかりとした口調で告げた。
「っ、そんなことは……!」
「ありがとう、メイサ」
首を横に振る私に、アズフィール様は静かに言って、真っ直ぐに前を見据える。
その時、私の手を握る彼の指に、僅かに力が籠もった。私もすぐにキュッと握り返して応えた。
それっきり、アズフィール様は唇を引き結び、言葉を発することはなかった。一歩後ろを進むヴァーデン王子も私たちの会話が聞こえていただろうに、なにか言ってくることはなかった。
土を踏む三人の足音だけが、周囲に響いていた。
木々が割れ、前方に麓の村が見えてくる。
「予想より早く戻れたな。これなら、アポロンを飛ばせば、日暮れ前に王宮に着けるだろう」