秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 まだ十分高い位置にある太陽を仰ぎ見て、アズフィール様が告げた。
「ええ」
 アズフィール様の声が、普段の調子を取り戻していることに、私は少しだけホッとしていた。 
「やれやれ。やっと林を抜けたと思ったら、今度はここから王都までか。先は長いな」
 ヴァーデン王子が一歩前に踏み出してきてアズフィール様の横に並び、少しげんなりした様子でこぼした。
「……そう言えば、メイサたちはどうやってここまで来た?」
「お祖父ちゃんが王宮にドラゴンで来ていたから、それを拝借して来たの。会議を終えたお祖父ちゃんは、自分が乗って来たドラゴンがいなくなっちゃって、今頃ドラゴン舎で立ち往生しているかもしれないわ」
「そうか、ヴェラムンド伯爵のドラゴンを飛ばせたか。……そう言えば、これまで伯爵のドラゴンを見る機会はなかったな。何色のドラゴンを所有しているんだ?」
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