秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
手首に回した男性の手が緩むのを感じ、私はゆっくりと花器から手を抜いた。男性は、私の行動を無理に止めようとはしなかった。
「実は燃えるもぐさ……あ、もぐさというのは、私が今掴んだやつのことね。あれの温度はだいたい六十度から八十度くらいなの。だから、胸まわりなどの皮膚の薄いところはともかく、比較的皮膚の厚い手のひらであれば、仮に握り込んでしまっても大火傷には至らない。……ほら。私の手も、おかげさまで微かに赤くなっている程度よ。これなら水ぶくれにもならないわ」
私は『ほら』と、男性に手のひらを翳す。目にした男性はホッとした表情を見せ、すぐに自身のポケットからハンカチを取り出した。
「……そうか。大事ないならそれでいい。大仰に騒ぎ立ててしまい、すまなかったな」
男性は糊のきいた真白いハンカチで、濡れた私の手をそっと包む。男性の宝物でも扱うような丁寧さがこそばゆく、頬にますます熱が集まる。
「ううん。気遣ってもらって、嬉しかったわ」
「実は燃えるもぐさ……あ、もぐさというのは、私が今掴んだやつのことね。あれの温度はだいたい六十度から八十度くらいなの。だから、胸まわりなどの皮膚の薄いところはともかく、比較的皮膚の厚い手のひらであれば、仮に握り込んでしまっても大火傷には至らない。……ほら。私の手も、おかげさまで微かに赤くなっている程度よ。これなら水ぶくれにもならないわ」
私は『ほら』と、男性に手のひらを翳す。目にした男性はホッとした表情を見せ、すぐに自身のポケットからハンカチを取り出した。
「……そうか。大事ないならそれでいい。大仰に騒ぎ立ててしまい、すまなかったな」
男性は糊のきいた真白いハンカチで、濡れた私の手をそっと包む。男性の宝物でも扱うような丁寧さがこそばゆく、頬にますます熱が集まる。
「ううん。気遣ってもらって、嬉しかったわ」