秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 さらに彼女は臆せずに『拒否権がないだから仕方ありません。ただし、私の施術を望む方の元には、今まで通り通って施術を続けます。これだけは譲れません』と宣言した。
 過剰にへりくだらない凛とした彼女の受け答えが、俺の耳になんとも心地よく響いた。
 俺は要求を許可し、その後の流れで彼女に、翌日に身ひとつで王宮にあがってくるよう伝えた。すると、強気だった彼女の態度が、一気に悲しそうなそれへと変わる。どうやら彼女は、突然の祖父母との別れにうろたえているらしかった。
 彼女の健気な姿を目の当たりにして、俺の胸に募ったのはますますの好感だった。家族への情に厚く、心優しい彼女に、愛しい以外の感情を見つけることは困難だった。
 ……メイサ。いったい君は、どれだけ俺を虜にすれば気が済むんだ。
 君の愛が得られるのならば、俺はきっと悪魔に魂だって売れる。君の愛を得るため、俺はどんなことでもしてみせる。
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