不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「今日はなに食べたい? 千帆は明日から西洋料理ばかりになるから、和食?」
「そうだね。お寿司とかどう?」
「いいね。ここの最上階に、回らないお店入ってたはず」

 買い物を済ませ、そんな話をしながらエスカレーターで最上階を目指す。この百貨店の最上階は高級レストランが軒を連ねており、どの店からも美しい夜景を望むことができるので人気スポットだ。

 寿司屋に向かって歩いている途中、私はふと足を止めた。斗馬さんによく似たシルエットの男性が、同じフロアにある中華料理店に入っていくのが見えたからだ。

 見間違い……? いや、あんなに洗練されたスーツ姿の男性はなかなかいない。あの店で夕飛さんと食事をするつもりなのかもしれない。

 こんなところで偶然会えるなんて、運命の神様も私たちの復縁を後押ししているのかな。

「ねえ紗那。今、あの中華料理店に入っていく夫を見かけたから、会いに行って驚かせない? 夫も友達と一緒だと思うから、そこまで気を遣わなくていいと思うし」
「えっ、いいの!? 斗馬さまとお近づきになれるなんて感激~!」
「大げさよ」

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