不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「苦しくないか?」
「大丈夫です。うれしい。斗馬さんとひとつになれて」
「千帆……どうした、旅行中はずいぶん素直にかわいいことばかり言う」

 少しだけギクッとした。心に押し隠している不安や疑念があっても、旅行中だけはそれを表に出すまいと努力しているのを見透かされたような気がして。

「そ、そうですか? 斗馬さんが、私の信頼を取り戻そうと頑張ってくれている、正当な結果じゃないでしょうか」
「……その発言、信じていいのか?」
「もちろんです。そうじゃなきゃ、こんな恥ずかしいことできません」

 私はそう言うと、両手で斗馬さんの顔を引き寄せてチュッと触れるだけのキスをする。

 斗馬さんは一瞬呆気にとられたけれど、直後に鋭く目を細めると、お返しのように深いキスを仕掛けてくる。

 同時に激しく腰を揺らし始め、室内に肌のぶつかる音が響いた。

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