不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「うれしい頼みだが、体は大丈夫か? さっきも無理をさせたように思うんだが」
「そんなことないです。とっても幸せな時間でした」
「それなら遠慮しないが、つらくなったらすぐ言うんだぞ」
「はい」
斗馬さんの瞳に熱が宿り、どちらからともなく唇を合わせる。吐息を重ね、舌を吸い合っているだけで昂った彼が、太腿に当たった。
こうして私に興奮してくれる間だけ、斗馬さんは私のものだと実感できる。それを確かめたいがために誘うなんて、ばかげていると思うけれど……。
「千帆……幸せ、か?」
私の中に入った後、緩やかな動きを繰り返す彼が、探るような表情で問う。
私は汗で濡れた彼の髪を撫でつけ、そっと唇を合わせて頷いた。
「はい。斗馬さんとこうしている時が、一番幸せです」
「俺もだ。もっと幸せにしてやる。好きなのはここだろう? ほら……」
「あ、待って……っ」
求められるのが嬉しいと同時に、やがてやってくる快楽の果てを思うと切なかった。
冷静な自分に戻りたくない。いつまでも斗馬さんと、この甘い行為に没頭していたい。
過去の私なら、不潔だとかハレンチだとか言いそうな思考だけれど、そんなきれいごとが言えたのは本気の恋愛を知らなかったからだと、今ならわかる。
ただただ斗馬さんと見つめ合い、キスをして体を繋げ、心の隙間を埋める。
そんな、精神安定剤代わりのセックスは私にとって必要不可欠なものとなり、その後の旅行中も、私と斗馬さんは客室のベッドで、時にはソファやバスルームで、時間が許す限り求め合う、濃密な日々を過ごした。