不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「あのクルーズ船には、バイト仲間と乗っていました。女性同士の旅でしたが泊まりの旅行に彼がいい顔をしないと思い、彼には内緒で。きっと、その罰が当たったんですね。指輪を守ることもできず、体には消えない火傷を負ってしまった。私はやっぱり彼に相応しくないんだって思って、一方的に別れを告げました」
さっぱりした口調で語った美鶴さんだが、このことを〝癒えない傷〟と表現するということは、彼女はまだパイロットの元婚約者に未練があるのだろう。
元婚約者もいきなり別れを告げられて、戸惑ったに違いない。
あの事故のせいでひとつのカップルが破局を迎えていたと知り、俺はやり場のない罪悪感に苛まれた。
俺になにかできることはないだろうか。同じパイロットの夕飛に協力してもらって、美鶴さんの元婚約者を探すのはどうだろう。
日本にいるパイロットは五千人以上と言われているが、羽田に出入りしているパイロットなら、夕飛の知り合いという可能性もある。