不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「えっ?」
「私もこんな偶然あるのかと驚いていますが……服部夕飛は私の友人です」
驚愕して絶句する美鶴さんの正面で、俺はこのふたりをもう一度引き合わせなくてはと、使命感に燃える。
すぐにメッセージで夕飛に連絡を取ると、美鶴さんと三人で会う段取りをつけたのだった。
多忙な夕飛のスケジュールに空きがあったのは、新婚旅行に旅立つ前日だった。
美鶴さんと夕飛がよく行ったのだという、百貨店最上階の中華料理店に予約を取り、フライトを終えた夕飛が来るのを美鶴さんとふたりで待った。
しかし、待てど暮らせど、夕飛はやって来ない。待っているあいだ温かい中国茶を飲んでいた美鶴さんが、泣き笑いのような表情で言った。
「やっぱり、彼にとって私は過去なんです。今さら会いたいと言われても困るんじゃないでしょうか」
「そんなことはありません。アイツはずっと飛行機ひと筋の男ですから、美鶴さんに対しても中途半端な気持ちじゃなかったはずです。一度すれ違ったくらいであきらめてはいけません。自分の気持ちに素直になってください、美鶴さん」
「剣先さん……」