不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
ここまで熱くなってしまうのは、自分自身が千帆との関係を再構築している最中だからかもしれない。
千帆の心を振り向かせたい一心で愛を伝えている反面、千帆を困らせているのではないかと不安になることがある。しかし、その度にあきらめるなと自分に言い聞かせてきた。あきらめなければ、気持ちはきっと届く。
美鶴さんと夕飛だって、きっとやり直せる。
「夕飛と住む世界が違うだとか、そんな心配も無用です。少なくとも俺にとって、アイツはただの飛行機好きの馬鹿です」
「ふふ、馬鹿って。……でも、お付き合いしていた時の彼も、確かにそんな感じだったかもしれません」
ようやく心からの笑顔を浮かべてくれた美鶴さんにホッとしたその時、ようやく夕飛からメッセージが入る。羽田に戻ってきたはいいが、フライト中に起きたトラブルの事後処理や各所への報告のため、この場には来られないという連絡だった。
美鶴さんにもその文面を見せると、目元をクシャッとさせて涙をこぼした。会えない無念さから泣いているのかと思いきや、少々違った様子だ。