不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
夕食の後で片付けを手伝おうと思ったものの、斗馬さんには『これくらいひとりでできるからお風呂に入っておいで』と入浴を勧められてしまった。
至れり尽くせりすぎてさすがに申し訳ないので急ぎ目に済ませ、フリルが多いワンピースパジャマに身を包む。
斗馬さんとの夜の営みのために女性らしいデザインを選んだのだけれど、今となってはその気合いが恥ずかしい。
スキンケアもそこそこにバスルームを出ると、肩にかけたタオルでセミロングの髪を拭きながら、キッチンの斗馬さんに声をかける。
「斗馬さん、あとは代わりますからお風呂どうぞ」
「ああ、ありがとう……って千帆、髪をちゃんと乾かしていないじゃないか」
「大丈夫ですよ。寝ぐせがついたら朝直しますから」
「ダメだ。俺が乾かしてやる。ちょっと待ってて」
えっ? 斗馬さんに髪を乾かしてもらうの……?
キッチンを出て行った斗馬さんをぽかんと見送っていると、やがてドライヤーを手にした彼が戻ってくる。