不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
愛を伝え続けて◆離婚阻止まで95日
「斗馬さん、お帰りなさい。お食事が先でいいですか? それともお風呂?」
結婚式から一週間余りが経った平日。会社が休みだった千帆が、約束通り俺のために夕食を作ってくれた。
白のロングワンピースに紺のリネンエプロンを身に着けている姿が、清楚で愛らしい。
「食事ができているなら、そっちを先にいただこうか」
「わかりました。すぐに準備しますね」
パタパタとスリッパを鳴らしてキッチンに戻っていく後ろ姿に強烈な愛おしさを覚えるが、素直に手を伸ばして抱きしめることができない。
新婚だというのに、俺たち夫婦には常にどこかぎこちない空気が漂っているのだ。
千帆はなにも悪くない。全部俺のせいだ。
俺は寝室に入り、脱いだジャケットをクローゼットのハンガーにかけ、ネクタイを外す。
楽な服装になったところでリビングダイニングを覗くと、食卓のダイニングテーブルには俺の好物が並んでいた。
皿からはみ出るほど大きなエビフライ、昔懐かしいポテトサラダ、コーンポタージュにほうれん草とキノコのソテー。家庭的でホッとするような洋食メニューに心が和んだ。