不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「剣崎さん、今お付き合いされている女性は?」
「合コンに来てくれたってことは、フリーなんですよね?」
「どんな女性が好みですか? 例えば私たちの中だったら?」
女性たちが、テーブルに身を乗り出して瞬きの回数を増やす。
剣先の財産に目がくらんだ女性にアピールされるのは昔から慣れているが、三人同時というのは初めてだった。思わず頭痛がして、額を手のひらで覆う。
「大変申し訳ありませんが」
一度咳払いをしてからそう言って、女性たちの方を向く。
「私には、将来を約束した許嫁がおります。彼女以外を愛すつもりは毛頭ありません。この場に参加したのはただの義理ですで、どうかほかの皆さんと楽しんでください。私は自分の会計を済ませて帰ります」
「では」と短く頭を下げ、席を立つ。静まり返った個室を出て通路を歩いていると、思わずため息がこぼれた。
ブッラータ……結局食べられなかったな。