不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 千帆の性格は知っていたはずなのに、ブッラータの誘惑に負けた俺がすべて悪いのだ。

 三カ月の猶予をもらったとはいえ、必死で愛を乞う以外、なにができるだろう。

 あまり積極的に迫りすぎると、千帆は俺が女性慣れしていると勘違いし、悲しい目をする。

 しかし、だからといってのんびりしていたら、三カ月なんてあっという間に過ぎてしまう。

 やはり、正面から愛を伝え続けるほかない。

「千帆」

 その日、同じベッドに入った彼女に手を伸ばした俺は、初めてその体を抱き寄せた。千帆は一瞬びっくりして身を硬くしたが、抵抗せず腕の中でおとなしくしている。

 今日まで「触れていいか?」と尋ねたかったのに言い出せず、ベッドの端と端で眠るような生活だった。千帆の意思を尊重しているつもりだったが、前に進むためにはやはり夫婦の触れ合いが大切だと思うのだ。

 肉欲的な意味ではなく、心を寄り添わせるような触れ合いが。

「これくらいなら、反則ではないよな?」
「……は、はい」

 俺の胸元で、千帆が微かに返事をする。前にキス以上の行為は反則だと言われてしまったので、俺も慎重になっていた。

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