不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
彼のそばにいると自然とその情熱に感化され、私自身も船を愛するようになった。船マニアの方々が満足するようなツアーを計画したいと思うようになったのも、彼の影響かもしれない。
通常なら企画するのは船に乗ることがメインのツアーだけれど、今回はその船を作る現場を知ることに特化した内容にした。
造船所は海のそばなので、宿泊先には海沿いのラグジュアリーホテルを用意し、現地の海産物を豪華に楽しめるバーべキューなども盛り込んだ。
船が好きな人も、そうでない人も、十分に楽しめるはずだ。
私は自信のあった企画が認められた充実感にほくほくしながら、会議室を後にする。
すると、後ろから追ってきた同僚が私の肩をポンと叩く。
「も~公私ともに絶好調ね、千帆。誰もが憧れる剣先財閥の斗馬さまと結婚して、仕事も順調。ちょっと人生交換しない?」
「紗那」
ゆるく波打つロングヘアをひとつにまとめ、隙のない化粧がばっちり決まっている彼女は、同期の掛川紗那。同じ会議の参加者で、営業企画部の私よりも会社の上層部に近い、経営企画部で仕事をする有能な社員だ。
実力で入社したとはいえ社長令嬢の私に気を遣う社員も多い中、入社直後から壁を作らずに話しかけてくれた貴重な存在。今ではなんでも話せる女友達でもある。