不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
彼女は目をぱちくりさせ、神妙に頷く。
「わかった。なんかワケありそうね」
「うん。また日時とか連絡するね」
「了解」
エレベーターの前で紗那と別れて、営業企画部のオフィスに戻る。
斗馬さんのことはとりあえず頭の隅に追いやって、せっかく通した企画をさっそく形にするため、各所に連絡を取り始める。
同じく自分の企画が採用となった佐藤くんも、必要な資料をデスクに積んで、バタバタと忙しそう。
ジッとパソコンを睨む眼差しや電話を掛ける口調に以前より自信がみなぎっているのがわかるので、教育係もそろそろお役御免かもしれない。
仕事に熱中していたら、定時を一時間ほど過ぎていた。オフィスはがらんとしてていて、残っているのは私ひとりだ。
今日は斗馬さんも土曜出勤で夕方には仕事が終わるそうだから、どこかで待ち合わせて外で食事しようと約束している。
斗馬さんの方が先に終わっているかも……。
スマホを取り出し、数分前に届いていた斗馬さんからのメッセージを読もうとしたその時だ。