不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 観光船や輸送船の製造を手掛ける会社で、本社は東京の丸の内。そのほか、日本各地の港湾に多数の造船工場を持っている。

 彼より七つ年下、二十五歳の私とは、生まれる前から互いの家に決められていた許嫁同士。

 我が真宮(まみや)家は剣先家ほど格式のある家庭ではないけれど、父は『真宮クルーズ』という船旅専門の旅行会社の社長。私は一応社長令嬢ということになる。

 斗馬さんの両親と私の両親は学生時代からの友人同士で、互いに異性の子どもが生まれたら結婚させようと目論んでいたらしい。

 勝手な両親だと思わなくもなかったけれど、相手が斗馬さんだったから、不満を抱くこともなかった。

 斗馬さんは子どもの頃から努力家で、しかもそれを周囲にひけらかさない。

 厳格なお父様に叱られ涙する少年時代の彼を目にしたこともあるが、当時さらに幼かった私の姿に気づくと、斗馬さんはいつもしゃがんで私の頭をなで、『こんなんでくじけてちゃダメだよな』と気丈に笑った。

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