不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 食事を終えて自宅に帰ってきたのは午後十時過ぎ。私は斗馬さんを避けるようにバスルームに逃げ込んだ。

 天使の話を持ち出したのは自分のくせに、酔いがさめた今となっては、改めて彼の口から天使のことが語られるのが怖い。どうしてあんな風に問い詰めてしまったんだろうと、後悔さえしていた。

 悶々としながら長めにお風呂に使った後、リビングで仕事をする彼に「おやすみなさい」とだけ言って、寝室に引っ込んだ。

 早く寝てしまおうとベッドの上でまぶたを固く閉じるが、眠気はなかなか訪れない。

 そのまま四十分ほどが過ぎて、ため息をついた。

 やっぱり、誰かに吐き出さないと苦しい……。

 私はスマホを取り出し、同僚の紗那にメッセージを送った。

【前にちょっと話した件で、相談したい。会社の後一緒にご飯行けそうな日教えて?】

 遅い時間に迷惑かなとも思ったけれど、すぐに既読がついて返信がきた。

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