不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
心の中で葛藤しながら、私は彼を試すように問いかける。
「私の誕生日、覚えていますか?」
「ああ、当然だ。九月十七日だろう?」
ここで『忘れた』なんて言われたら、私は二度と彼を許さなかっただろう。
とりあえず第一関門はクリア。少し偉そうだが、そんなことを思う。
「その前日までなら、待つことにします。もしも斗馬さんを信頼できないままだったら、一緒に誕生日を祝うなんて不本意だと思うので」
「九月……あと、三カ月と少しか。わかった。その間に必ず、きみの心を取り戻してみせる」
斗馬さんが私の両手を取り、ギュッと握る。
彼の瞳はいかにも真摯な色をしているが、それが演技なのか素の彼なのか、この三カ月でじっくり判断しようと改めて心に決める。
「簡単ではないですからね」
「わかっている。なりふり構っていられないということだな」
言い切ると同時に、斗馬さんが顔を近づけてくる。
えっ? なんでこの状況で……!?
呆気に取られているうちに、唇が重なる。否応なく頬が熱くなり、鼓動が暴れた。
誓いのキスよりも長い間重なっていた唇が離れていくと、斗馬さんが至近距離で私の瞳を覗く。