不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「斗馬さん?」
「さっきは怖がらせてすまない。あの男に付け入る隙を与えたのは、俺が不甲斐ないせいなのに……大人げない嫉妬心に負けて、きみにまでつらく当たってしまった」
耳元で静かに、斗馬さんが語りだす。
やっぱり、彼は佐藤くんに嫉妬していたんだ……。
さっきの斗馬さんは確かに少し怖くて、車に乗っている間中居たたまれなかった。でも、嫉妬するということは、今の斗馬さんが間違いなく私を愛しているという証明のようでもある。その想いが伝わって、否応なく胸が熱くなる。
「私の気持ち、少しはわかりましたか?」
嬉しい反面、少し意地悪な気持ちが湧いて、私は少し体を離すと斗馬さんを上目遣いで見つめ、そんな質問をした。
紗那に斗馬さんとのことを相談した時、妻としてもっと強気でいようと思えたせいもあるかもしれない。
「ああ。身に染みたよ。千帆が怒るのも当然だ。それに……」
斗馬さんは私の背中に回していた両手を顔に移動させ、包み込むように触れる。
瞳を覗いて顔を近づけ、今にも唇が触れそうな距離で囁いた。
「また隙をついて近づく男が現れないように、もっともっと愛を伝えてきみを守らなければと思った」