不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 彼の言わんとすることを察して、頬がかぁっと熱を持つ。彼の言う〝キスだけでは届かない場所〟が、得体のしれない疼きを覚えた。心臓が、ドキドキと暴れてうるさい。

「もう少しだけ……待ってくれませんか?」

 離婚を切り出した当初とは、明らかに変わってきた私たちの関係。その変化と共に、斗馬さんの愛情を素直に受け止めたい気持ちも、日に日に増している。

 でも、私は処女だ。簡単に流されてしまうのは、やっぱり怖い。

「もう少しというのは、どれくらいだ? 具体的に教えてほしい。なにせ、俺たちには時間がないからな」
「え、ええと……」

 間近で見つめ合いながら尋問され、パニックになりながらも頭を回転させる。

 どうしよう。いったいいつなら、私は彼にすべてを捧げる覚悟ができる……?

「ら、来月?」

 なんとなく浮かんだ時期を口にしたら、斗馬さんにすかさず「来月のいつ?」と突っ込まれる。

 そんなにすぐには決められないのですが……。

 悩みすぎて、頭から煙が出そうになっていたその時、不意に斗馬さんが声をあげる。

「そうだ、来月の下旬には新婚旅行の予定だろう。その時ならどうだ? 少しは心の準備ができると思うが」
「新婚旅行……」
 
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