公親先生と遊ぼう! 〜未来の種 番外編〜
「私……失敗しちゃったみたいで…」

消えそうな声でやっと答えたのはその一言。

「失敗? 何を?」

「……ど、動画…」

「動画?」

動画を失敗した?
消してしまったのか?

幼稚園では何故かスマホを三脚に固定して動画を撮っている。

美衣子から聞いた話では、PCに弱い幼稚園の先生でも、スマホなら扱えるだろうという理由で、事務局が動画のためのスマホを用意したそうだ。

確かにスマホなら誰でも操作したことがあるわけだし、説明も必要ないだろう。

その動画をホームページにアップするのは無理だとしても。

「今日は動画を撮ったんだよな?」

「……はい。
でも、今見てみたら、入ってなくて…」

入ってない?

「それは……誰が撮影していたの?」

「あの……私です…
今日は『お歌』と『なぞなぞ』の撮影だったので。
あ、私は『体操』の担当なんです」

「なるほど…」

それは美衣子からも聞いていたことだ。
それぞれに担当があって、美衣子は『お歌』の伴奏を担当していた。

美由紀先生は『体操』か。
走っているところを見ていたので納得出来た。綺麗なフォームで、はつらつとしているもんな。
カメラの前でニコニコと綺麗な動きを見せているんだろう。

いや……
今日は『お歌』と『なぞなぞ』だった。

「ちょっと見せてみて?」

落ち込む美由紀先生を隣の椅子に座らせた。

それにしても、幼稚園の椅子ってなんでこんなに小さいんだ?
テーブルに足を入れるのは諦めた。

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