すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 ちょうど十八時。

 時間ピッタリに家のチャイムがなった。すでに十分前ぐらいにはブーツも履いて、準備万端な状態で玄関にいた。ドアの前で立ち、心の準備をして一分ぐらいたって、背筋をピンと伸ばしてからドアを開けた。

「あっ、遅くなってごめん! 今ちょうど準備出来たとこなの!」
 
 なぜか私は、今準備出来た感を出した。
 結構前に準備を終えていたのに。
 
 ドアを開けると、悠真だと気がついてマロンがシッポを振りよろこんだ。悠真がマロンとたわむれる。

 終えると悠真は言った。

「車に乗って?」
「えっ? 車?」

 いきなり悠真に手をつかまれ、見たことのない白い車の後ろに押し込まれた。

 運転席から後ろの席にいる私を覗き込む人、見覚えがある。

「俺の父さん、覚えてる?」

「あっ!」

 そうだ! お父さんだ!

 小さい時、悠真の両親は離婚して、彼のお父さんは家を出ていった。

 まだ離婚していない頃、悠真と一緒に、あちこち連れて行ってくれたのを覚えている。すごく、優しかった記憶。

「お久しぶりです!」
「大きくなったね」

 お父さんのメガネ越しの、私を見る瞳がとても暖かい。

「今日はね、悠真が小さい頃から結愛ちゃんに見せたいって言っていた景色の場所に行くよ!」

「小さい頃、から?」

「そう。結愛ちゃんに見せたいって目をキラキラさせて言っていたんだ。というか、悠真、毎日結愛ちゃんの話ばかりして……」
「父さん、余計なことは言わないでいいよ」
「そっか、ごめん! 今日は雲もないし、空もいい感じだし。良かったね、悠真!」

 悠真は返事をせずに耳を赤くして、外の景色を眺めていた。



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