すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 夜、母さんに教えてもらってメモした番号をスマホに入力する。

 今電話して良いのかな? もしかしたら寝てるかもしれないし、まだ仕事をしているのかもしれない。迷惑じゃないかな?


 迷っているだけじゃあ、前に進めない。
 ついに電話マークを押した。

 スマホを耳に当てる。
 コールが鳴る。

 三回目のコール。父さんは電話に出た。

「はい、もしもし」

「……」

 はっきり声は覚えていないけれど、懐かしさを感じる声が聞こえた。

 父さんの電話番号だから父さんが出るのは当たり前だけど、いきなり声が聞こえて、喉が詰まった感じになって、声を一瞬出せなくなってしまった。

「もしもし」
「……父さん、俺、悠真だけど」

 声はなんとか、出せたけど。
 何この、なんとも言えない気持ち。

 
 最初は言葉が詰まったけれど、俺が上手く話せるよう、父さんは誘導してくれた。慣れてくると、想像よりも、小さい頃みたいに話がスムーズに出来た。

「メールアドレス教えるから、そこにその昔見に行った星空見える場所の地図を送ってくれたらいいよ!」

 俺がそう言うと、父さんは言った。

「連れて行ってやろうか?」

「えっ? そこまでしなくていいよ」

「いやぁ、クリスマスイブの日、仕事休みだし」

「確かに、父さんに連れて行ってもらった方が迷わなくて、安心かも」

 予想外に、父さんが当日目的地まで連れて行ってくれることになった。

「あとね、彼女にプレゼント渡したいんだけど、どうしたら良いか分からなくて……」

 流れでプレゼントのことも相談もした。

 インターネットでも買える。でも直接見て、結愛に似合うかだとか判断をしたくて。あちこち遠くの店も一緒に回ってくれることになった。

 あちこち回って、いくつかプレゼントの候補を決めたけど、なかなかギリギリまで決められなかった。結局プレゼントを買えたのは、約束した日の三日前だった。

 結愛と頻繁に遊べなくなって「そっか、今日も遊べないんだ……」ってしょんぼりさせてしまって、でも事情を話せなくて、胸がしめつけられた。心の中で何回も「ごめんね」って謝ることしか出来なかった。


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