すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 毎日、彼のことが気になっていたけれど、一切連絡を取り合うことはなくなった。

 俺がメールをしたせいで、彼が今の俺よりも不幸になってしまう運命を辿ってしまうのではないかとか、マイナスなことばかり考えて、送れなかった。

 クリスマスイブの日、久しぶりにメッセージが来た。
 それは文章と、一枚の写真だった。

『星空に結愛が写っている写真を送ります』

 うっすらと雪の積もった丘、そして、空にいっぱい散りばめられている星たち。

 結愛も写っている書き方だけど、結愛は写っていなかった。違う世界線の人は写れないのかな?

 なんか、よく分からないけれど、複雑で難しい事情がありそうだ。

 この今送ってくれた写真。
 小さい頃、家に父さんがまだいた頃に見た風景。

 そう、幼い日、父さんとふたりきりで、ここに来た。父さんと出かけたのはこの時が最後だった。

 星空が綺麗で、首が痛くなる程空を見上げていた記憶が鮮明に残っている。

「この星と空、家に持って帰りたい!」

って俺が駄々をこねると、真剣に悩んだ父さんは、写真を撮ってくれて「毎日会えるようにしてあげるね!」って言っていた。

 どうやってやるんだろうって帰り道、父さんの車で考えていた。

 数日たつと、一枚の大きなポスターを父さんからもらった。

 父さんが撮った星空だ。

「B2サイズでそんなに大きくなくて、ごめんな」

 大きさなんてどうでも良かった。
 いつもその景色と一緒にいられるのが嬉しかった。
 
 過去の記憶が鮮明に蘇ってきて、俺は今、目の前の壁に貼ってある、その星空のポスターを見つめた。

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