すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 ふたりで照れた空気をまといながら、少しだけぼんやりと景色を眺めた。

「そろそろ行かないとね! 運転手さん、待たせてるよね!」

 私はここからは見えないタクシーの方向を向く。

「もう少しだけ、ここにいたいな」

 彼は言った。
 なごり惜しそうな悠真の表情。

「もう少しだけ、ね!」

 その場に座った。すると「ちょっと立ってもらえる?」と悠真は言い、自身のマフラーを外し、私が座ろうとした雪の上に置いた。

「雪で結愛、濡れちゃうからこれ使って?」
「あ、ありがとう! 悠真も座る?」
「いや、俺は立ってるよ!」

 そんな会話をした後、何となく見つめ合う。 

< 128 / 131 >

この作品をシェア

pagetop